昔から健康運動の代表格としてプールでのウォーキングや水泳が有名ですよね。
ダイエットにも良いと言われています。
でも本当でしょうか?
テレビを中心としたメディアで紹介されたことを鵜呑みにしてしまっていることはありませんか?残念ながら運動の専門家であるボクから見てあまりにも安直に考えすぎている人が多いです。
そもそもプール運動と言ってもウォーキングと泳法ではお勧めできる人が全く違います。絶対にやめた方が良い人も多くいます。
この記事ではプール運動の効果と種類を具体的に分解しています。極端にプールを批判することなく本当の価値も伝えます。
ダイエットや健康増進でプールを考えている人には判断材料となるでしょう。
フィットネスインストラクター、トレーナーとして25年活躍しています。今まで千人以上のクライアントを見てきました。
人材の採用・育成にも関わっているので業界の裏側まで熟知しています。
プール運動がダイエットに向かない理由
ダイエットに取組みたい人ならプール運動を取り入れてみようと考えたことがあるのではないでしょうか?
水中ウォーキングや水泳は安全・効果大ということで多くの識者からオススメされていますよね。ドクターも運動を勧める時には決まってプール運動を持ち出します。
でもね、本当に運動をよく知っている専門家でプール万能説を唱える人はいませんよ。
プール運動と言っても色々あるのです。持っている体力や年齢が違えば目的も人それぞれです。
誰にとっても万能であるはずがありません。乱暴すぎます。
特にダイエットの場合は陸の方が有利な条件が多いです。盲目的になってはいけません。
説明しましょう。
理由①体脂肪がないと冷える
フィットネスクラブや公共のプール水温は31℃前後に合わせています。
一方体温の中心は37℃ですね。その差は6℃もあります。
つまりプールに入れば体温がどんどん下がるので、身体はエネルギーの塊である体脂肪を燃焼して体温を37℃に保とうとします。
これがプール運動は体脂肪減少に効果的であるという理由です。
が、しかし・・・
体脂肪の重要な役割として『体温の保持』というものがあります。体脂肪は冷えから体温を守る強力なバリアとしても働きます。
体温を37℃に保つために体脂肪はとても大切な役割を持つことになります。身体はおかれた環境に適応します。つまり低温下において体脂肪は貯えられる方向に働きます。
水中の哺乳類
海に生きる哺乳類であるクジラ、イルカ、アザラシ。体温は人間と同じく37℃です。みんな脂肪がのっていますよね?でっぷりしています。
ちなみに海の水温はプールよりもはるかに低いです。運動量も相当な量です。
・・・そういうコトです。
とはいえ、これは体脂肪を減らすことを最優先にした場合の考え方です。
プール運動をダイエットの中心にした方が良い人はたくさんいます。後に説明しましょう。
理由②下半身の筋肉量が落ちやすい
ダイエットを成功させるには筋肉量が多い方が有利になります。筋肉が多いというコトは発揮するエネルギーも多くなるからですね。
また全身の筋肉量の70%は下半身に集中しています。足の力は腕の力よりも圧倒的に強いですよね。
ところが水中では浮力が働くため体重は陸の3分の1程度になります。下半身の筋肉を使わないのです。
クロールにおいても推進力のほとんどは上半身の動きによるものです。やはり下半身はあまり使いません。
水中運動ではダイエットを成功させるためにカギとなる下半身の筋肉が落ちやすいのです。
データで証明
ボクは千人以上の運動継続している人の身体データを見てきました。
プールのみで運動している人の下半身筋肉量は、ほぼ例外なく少ないですね。
水中運動は身体にとても優しいです。しかし下半身にとっては優しすぎて鍛えるどころか弱くなります。
何事もかたよるのは良くないですね。
ダイエットでは陸での下半身筋トレを必ず取り入れましょう。
理由③体脂肪がある方が泳ぎやすい
クロールや平泳ぎなど泳法では水面に浮いた方が有利になります。浮けないと息継ぎがやりにくいので長距離を泳げません。
まあ、浮くにはテクニックの要素も大きいのですが、そもそも体脂肪が多い方が水面に浮きやすくなります。
比重 | 水中では? | |
---|---|---|
水 | 1 | ― |
筋肉 | 1.1 | 沈む |
脂肪 | 0.9 | 浮く |
筋肉は水より重いので沈みます。脂肪は水より軽いので浮きます。
よって、体脂肪があった方が泳ぎやすいのです。
しかしダイエット=体脂肪を落すですから矛盾することになりますね。
ダイエットにおけるプール運動のメリット?
はっきり言ってダイエットしたい人があえてプール運動を選ぶ必要なはないでしょう。
もちろん健康増進のための運動としては優れています。ダイエット目的なら不向きと言っているのです。
しかし中にはプールがオススメの人もいます。メリットはどこにあるのでしょうか?
説明しましょう。
運動ハードルは限りなく低い
ダイエットに限った話ではないのですが、水中ウォーキング(※水泳ではない)はとても参加ハードルの低い運動です。
具体的には、
- 頑張らず適当に歩くだけでも十分な運動強度がある
- 膝や腰など間接に負担をかけない
- 血圧の上昇を防ぐので安心
頑張らず適当に歩くだけでも十分な運動強度がある
水中では空気中と比べ800倍の抵抗があります。全ての体の動きには水の抵抗がかかります。
正しい歩き方がない訳ではないですが、適当に歩くだけでも十分な運動効果を得ることができます。
膝や腰など間接に負担をかけない
水中では浮力が働きます。胸まで浸かると体重は1/3に、首まで浸かると1/10まで軽減されます。
体重を支える必要がないので、関節に負担がかかりません。安全にウォーキングを行うことができます。
ウォーキングを始めたけれど体重が減るよりも先に膝を痛めてしまうというのは運動初心者のあるあるなのです。
血圧の上昇を防ぐので安心
水中ウォーキングであればプールの底に近い下半身へ大きな水圧がかかります。
その圧力は下肢の血液やリンパ液を上に戻す役割を担っています。血液の循環ポンプは心臓です。
つまり水圧は二つ目ののポンプとして働きます。心臓の負担を大きく減らしてくれるんですね。
運動が継続しやすい
プールでの運動はシンプルです。水中ウォーキングはただ歩くだけです。
簡単です。誰でもできますね。だから続きやすいんです。
これがジムでのトレーニングだとそうはいきません。ある程度トレーニングのことを理解しておかなければダイエットに有効なトレーニングになりません。
少なくとも有酸素運動と筋トレの違いくらいは理解しておかねばならないですね。
勉強と同じで少しでも難しくなると、途端にモチベーションが下がり継続できなくなる人は増えます。
水中ウォーキングなら歩くだけなので絶対にできます。
ムリに水泳をやる必要はない!
水泳をカン違いしている人が多いです。
水中ウォーキングと同じように健康運動の代表として語られることが多いですね~。
でも違いますよ。
場所が同じプールというだけです。似た者同士の大違いです。
そもそも運動強度が違うし、難易度も全然違います。よって対象者も違います。
過去に水泳経験があり500m以上楽に泳げる人ならダイエットや健康運動として取り入れる価値はあります。そうでないなら水泳は外しましょう。
プールだと水中ウォーキングか泳法しかないので、『プール慣れてきたからつぎ水泳』みたいな感覚になりやすいですね。
でもこれは散歩に慣れてきた人が高強度のベンチプレスに挑戦するようなものです。分かりにくければマラソンを始めるみたいなものです。非常に危険です。
水泳がいらない理由
熟練していないと有酸素運動にならないからです。泳力がなければ5分も泳げません。5分も続けられない運動では痩せることはできません。
25m泳いでハァハァ言っているような状態ですね。ほとんど無酸素状態です。しんどい割には運動効果が薄いです。
もし運動不足ならいきなり泳ぐのは危険です。
もちろん休み休みでもまとまった時間泳げるなら水泳はとても良い運動です。
ダイエットのためにあえて取り入れる必要はないと言っているのです。
【まとめ】プールは低強度か高強度の2択になりやすい
水中は陸とは大きく違う環境です。
その特性上、どうしても低強度か高強度の2択になりやすいです。
水中ウォーキングは人を選ばず安心・安全に運動を行うことができます。
水泳は無呼吸になりやすく体力の消耗も激しい運動です。
一方、ダイエットに向いている運動とは、ゆるすぎずある程度体力を使うものです。具体的には、
- 数十分間行うことができる有酸素運動
- 下半身を中心とした筋トレ
上記2つです。
いづれも水中ではやりにくいですね。
まあ、ダイエットで一番つまずきやすいのは習慣化できなかったコトなので『プールじゃななきゃ続かない!』という人にとっては良いでしょう。
ただ案外デメリットもあるので理解した上で取組むべきですね!