スタジオプログラムは、フィットネスクラブで最も楽しく運動できる場所です。
しかし、2020年以降(つまりコロナ危機以降ですね)、スタジオやプールで行われるレッスンプログラムの形態が変化しつつあることに気付いている人も多いのではないでしょうか?
例えば、、、
- レッスンプログラムが無料から有料に変更された
- 予約制になった
- プログラムの本数が減った
一見利用者にとってはマイナスととれる材料が目立ちますね。レッスン愛好者にとってはこれからどうなってしまうのか心配になっている人も多いはずです。
この記事では、そのような変化が起こってしまった原因とこれからの変化を詳しく説明しています。25年のインストラクター歴を持ち、運営内部の事情にも精通している私フラッシュパパが解説します!
フィットネスインストラクター、トレーナーとして25年活躍しています。人材の採用・育成にも関わっているので業界の裏側まで熟知しています。
コロナ後に急拡大したオンラインフィットネスに大きな魅力を感じ、数十社のサービスを研究しています。
スタジオプログラムの変化『有料化はとまらない』
結論から言うと、スタジオやプールにおいて提供されるレッスンプログラムの有料化は加速することになります。
もちろんクラブを運営している企業の考えにより差はあります。しかし現在無料で提供されているクラブでも、今後5年以内に有料化に踏み切ることになるはずです。形態としては『大人の習い事』のような感覚ですね。
このあたりについてはもう少し説明をしておきましょう。
スタジオ、プールプログラムの有料化のかたち
プログラムの有料化は以下2つのうち、どちらかをとることが多いです。
- 月会費とは別にプログラム参加オプション費として2〜3,000円ほどの料金を支払う。
- プログラムに参加するたびに一本あたり数百円〜数千円の参加料金を支払う。
また、有料化にともないスマホから参加希望プログラムの予約ができるような仕組みも整ってきています。スタジオ内の場所指定ができるクラブもあります。
スタジオプログラム永遠の課題である『場所取り戦争』に終止符が打たれるかも!
プログラムの実施はコストが高く儲けは少ない
フィットネスクラブで提供されるレッスンプログラムには、ヨガ、ピラティス、ダンス、ボクシング、アクアビクスなどがあります。
これらのプログラムを提供するには、インストラクターが必要であり、そのためには多額の費用がかかります。
レッスンインストラクターは、自社スタッフが行うこともありますが、フリーランス契約を結んだプロインストラクターや専属トレーナーを雇うことが多いです。自社スタッフの場合は時給1,000円〜2,000円ほどでできますが、プロインストラクターの場合は1本あたり3,000円〜6,000円が相場となっています。
つまり、プログラムの提供にはとてもお金がかかるのです。
ただ、参加者の多くは時間に余裕のあるクラブの常連者で、これからも続けてくれる可能性が高く、お金をかけて引き留める必要はありません。
もちろん、長年続けている人々は最も大切な客であることには変わりないですが、今クラブが最も必要としているのは、新しくクラブに入会してくれる人々なのです。
コロナが引き金となった構造の大変動
コロナ危機でフィットネスクラブの会員数は激減し、多くのクラブが経営難に陥っています。会員数に関わらずクラブ運営にかかるコストは変わらず、経営が成立しなくなるのは当然です。競争激化による苦境はコロナ以前からあり、新興勢力が台頭し、フィットネスクラブが経営難に陥っていました。コロナは弱っていたフィットネスクラブに最後の一撃を与えたと言えます。
そもそも多くのフィットネスクラブがコロナ前から経営難だった
運動不足や食生活に対するリテラシーの向上により、健康への意識は年々高まっています。
この影響で、フィットネス産業も1999年の市場規模が3000億円から、2019年には5000億円にまで成長しました(引用:クラブビジネスジャパン)。
しかし、実際には、多くのクラブが競争激化のために経営が苦しくなってしまいました。24時間ジムやパーソナルトレーニングジム、専門のヨガスタジオなどの新興勢力の台頭が原因です。
これらは2005年頃から徐々に拡大していき、総合型のフィットネスクラブからシェアを奪っていったのです。総合デパートが食品はスーパーに、アパレルはユニクロに、家電は量販店に奪われたのに似ていますね。
フィットネスクラブは細分化が進む
フィットネスクラブといっても様々な形態があります。
以下は一例です。
種類 | 施設 | 料金 | 特徴 | 代表的なクラブ |
---|---|---|---|---|
総合型フィットネスクラブ | マシンジム、スタジオ、プール、風呂、サウナ | 7千円〜1万2千円 | スパ設備を含め健康運動をするための環境が全て整っている | コナミスポーツ、セントラルウェルネス、ルネサンス、ティップネスなど |
24時間ジム | マシンジム | 7千円〜9千円 | 24時間利用できるマシンジムに特化したジム | エニタイムフィットネス、ジョイフィットなど |
パーソナルジム | 小スペースジム | 3万円〜20万円 | 専任トレーナーが付き短期間で目的を達成する高額ジム | ライザップ、24/7ワークアウト、チキンジムなど |
専門スタジオ | スタジオ | 8千円〜1万5千円 | ヨガやピラティスなどに特化した会員制スタジオ | ラバ、カルド、ゼンプレイスなど |
女性専用サーキットジム | サーキット特化ジム、簡易スタジオ | 6千円〜1万円 | 30分程度の短時間サーキットトレーニング | カーブス |
たしかにフィットネス産業は大きく伸びてはいるものの、その分様々な特化型クラブが勢力を伸ばしています。結果としてそれぞれの分野で勝ち組と負け組がはっきりしだしたのです。
有料化はスタジオだけにとどまらない
はっきり言って総合型フィットネスクラブは負け組になります。
使い勝手だけなら24時間型ジムの方が優れており、スタジオレッスンの質は専門に展開しているクラブが勝ります。トレーナーの指導もパーソナルジムには遠く及びません。数カ月研修しただけの学生アルバイトでは太刀打ちができません。
ところで、最近はトレーニング方法をあらかじめYouTubeで研究してくる人も多いようです。スタッフより詳しい初心者が多発するという笑えない話も多くなっています。
ということで、総合型フィットネスクラブの経営はこれからも厳しくなります。
具体的には以下のように変化します。
総合型クラブはセクションの切り売りを始める
これからの総合型フィットネスクラブはジム、スタジオ、プールを使うセクションに対してだけ課金するシステムに移行していくでしょう。
例えば、ジムは月額5,000円、プール月額6,000円、スタジオ月額7,000円のような感じです(価格は仮です)。
ジムとプールで契約するなら月額11,000円。3つ全てなら月額18,000円ですね。
現在はまだ多くはありませんが、今後そのようなクラブは確実に増えていきます。
数年間は常連者にとって厳しい時代が続きます
2020年以降、フィットネスクラブは値上がりが続きました。毎年値上げをするクラブもあります。何十年もデフレの時代が続いたのだからやっとまともな料金になったのだと取れなくはないです。
しかしフィットネスの場合はちょっと、いびつな状況になっているのも確かです。
なぜなら本来値上げというのは、ふさわしい価値があり値上がりしたとしても、変わらず買ってくれる客がいることが前提です。
しかし、フィットネスクラブの場合は多くの人が離れてしまった後に、変わらず続けてくれる人に対して不足分を補ってもらっています。一番大切にしないといけないロイヤルカスタマーからどんどん吸い上げている状態です。
フィットネスクラブを楽しむために大切なコト
このようにフィットネスクラブ常連者にとってはどんどん使いづらい形に変化していきます。残念ですが受け入れるしかありません。そうしなければクラブ自体が消えてしまうからです。考え方次第ですが、今までが安すぎたのかもしれません。毎日のように通う人にとっては、これからもクラブが、かけがいの無い場所のはずです。
とはいえこれからクラブに入会する人たちにとって、そのような形は悪くはないかもしれません。
危機に見舞われたフィットネスクラブは今までの常連者を切り捨ててでも大きな変革に乗り出してくるからです。クラブにとって今一番大切なのは新規入会者を獲得することなのです。新しく入会する人にとってメリットとなる特典を優先的につけてくれるでしょう。
先にあげたジム、スタジオ、プールの切り売りも新しくクラブに入会する人にとっては悪くない話です。あまり通うことができない人にとっては値下がりになるでしょう。