体調を整えるための要素としては食事をはじめとして様々な対策がありますが根本的にはその人が持っている『体力』を伸ばすことが最も大切です。
その中でも肉体的にも精神的にも様々なストレスから身を守る『防衛体力』を伸ばすことは長期的に見てもっとも有効な方法と言えます。
体調を壊しやすい人は防衛体力が弱い、または弱っているから体調を崩すのです。そのような方は今回の記事が解決法となるかもしれません。
行動体力と防衛体力
健康を保つための最大の要素は体力です。
日常的に息を吸っているだけで目に見えぬ様々なウィルスや細菌は体内に侵入しているためそれに打ち勝つ体力が必要なのです。
だから体力が弱りやすい高齢者や乳幼児は風邪をこじらせたり誤嚥による肺炎を起こしやすくなったりするのです。逆に言えば体力さえあれば一般的に『風邪』と言われる感染症にかかることはないのです。
では、『体力』とは何なのか?
具体的に体力は『行動体力』と『防衛体力』の2種類に分類することが出来ます。更にそれぞれを細分化することになるのですが、ここでは行動体力が一般的に皆様が考える肉体的な強靭さを指すのに対し、防衛体力はウィルスや細菌などの外敵から身体を守り、精神的なストレスに耐えるための体力であると思っておいてください。
筋力、持久力、瞬発力、敏捷性、柔軟性、平衡性などの実際行動するときに必要とされる体力の事
ウィルス、細菌等の外敵に対応する体力。内的なストレスへの耐性も含む
よって風邪に強い身体を作るためには防衛体力をいかに伸ばしていくかという事が重要になる訳です。
また行動体力と防衛体力は強い相関関係があるため、肉体的な体力を養う事は病気に強い身体を作る事に繋がります。
特に季節の変わり目には気温の差が激しくなるため要注意です。このような時に体調を壊すことが多い人は体温を調整する防衛体力が弱いと言えます。
風邪っぴき
風邪のみに絞り考えていきます。
外出後の手洗いやうがい、身体を冷やさない等の一般常識的な事はすでに行っていることとして話を進めます。
そもそも『風邪』とは体外から新入してくるウィルスや細菌が原因で起こる感染症の総称の事を指します。
その種類は数百に及ぶため、普通の風邪であれば原因を特定することは困難です。もし特定できたとしても、その頃には回復してしまっているためあまり意味がないとも言われます。
以下は多くの方が陥る、風邪薬に対する問題認識ですから、よく理解しておいてください。
- 風邪の原因が違うためそれに有効な薬も当然違う。
- 原因が分からないため、とりあえず熱を下げたり鼻汁を抑える対症療法に頼らざるをえなくなる。病原体には効いていない(ウィルスをやっつけることは出来ない)。
- 病原体に対抗するため熱を上げたり鼻水を出したりしているのに、それを押えてしまうと回復が遅れる。
- 病院で処方される抗生物質は細菌には有効であってもウィルスには効かない。風邪の80%~90%はウィルス性のものである。
- 体の中には良い影響を与える善玉菌がたくさん常在しているが、抗生物質はこれらの菌を殺してしまう。副作用のデメリットが大きい。一般的な風邪に抗生物質は必要ない(という医師や薬剤師は多い)。
- 風邪をこじらせた結果 、細菌性の肺炎や気管支炎になってしまった場合に抗生物質は効果がある。
※ここに挙げたものはあくまで一般論です。お医者様の診察を受け、薬を処方された場合はその指示に従うべきです。医学に反論することが主旨ではありませんのでご理解お願いします。
なんか治水工事において「川の流れを変える工事をしたら土砂崩れが頻発した」なんていうのとよく似ていますね。
身体はとても複雑でよくできているので、病原体等の外敵から身を守る能力が元々備わっているのです。
筋肉の持っている大切な役割
ではどうすればよいのか?
明確に記します。
そもそも我々の身体にはウィルスや細菌などの病原体が外部から侵入してきたときに『敵』とみなして攻撃する能力や、『非自己』であるガン細胞に対抗する様々な機能が備わっています。これを免疫と言います。
そして免疫の材料として最も有名なのがリンパ球(白血球)です。
このリンパ球の働きが良ければ風邪はもとより、様々な病原体に対抗できるため『病気になりにくい体』を作ることが出来ます。
次にリンパ球の働きを良くする方法です。
病原体が体内に侵入してきた時に、兵隊であるリンパ球の数を増やさなければなりません。そしてその材料は我々の体の中に備わっています。
それが筋肉です。
外部からの敵に対しての有事の際には、筋肉を分解して出てくるグルタミンというアミノ酸がリンパ球を増やしてくれるのです。
※ちなみに旨み成分のグルタミン酸とは別物です。グルタミンです。
ところが、筋肉が弱く細いとこのような仕組みが成り立たず、リンパ球の働きが弱いままです。結果病弱で治りが遅い身体になってしまいます。
普段から身体を良く動かし、筋肉を強くすることは様々な疾病に対抗する有効な手段と言えるのです。
筋肉は走ったり飛んだりするためのものだけではありません。筋肉がなければ我々は生きていくことが出来ないのです。
スポーツ選手は意外と体調を壊しやすい?
しかし、世の中には一見健康そうに見える人でも病弱であることが良くあります。例えば筋肉がものすごく強いプロスポーツ選手などは意外と風邪をひきやすかったりします。これはどういう事でしょうか?
強い身体を維持していくためには以下の3つの要素が必要です。
- 有酸素運動、筋トレ、ストレッチを組込んだトレーニング
- 炭水化物、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素をバランスよく摂る
- 質の良い睡眠、休息
しかし、現在進行形で体力を伸ばしていくためにトレーニングしている人はどうしても『トレーニング』にかかる割合が大きくなります。特に『休息』が足りていなければ体はトレーニングによるダメージから回復されないため、日常生活における様々なストレスに耐えられなくなります。その結果風邪ひきをはじめとして体調を壊しやすくなります。
プロスポーツ選手や日常的にハードなトレーニングをしている方は、常に限界までトレーニングしているため、その他の要素である栄養と休息のバランスをより重視しなければなりません。
もちろんこれはハードな運動をしている人だけのものではありません。
「ちゃんとした生活をしているのにどうして病弱なのだろう?」と思われている方は①~③の原則がちゃんと生活の中に取り込まれているか確認してみてください。
長年苦しんでいるような事でも、解決策は意外とシンプルな所にあるかもしれませんよ。
体調を壊さないための防衛体力の磨き方
結論です。
風邪をはじめ様々な外敵から身を守るためには防衛体力をつけなければなりません。その為には筋肉を強くしてください。
また筋肉を強くするにはバランスの取れた栄養が必須となります。普段から運動をしっかり行い質の良い様々な種類の食物を摂るのです。
- リンパ球の働きを高めてくれる筋肉を鍛える。
- 筋肉を作るための材料(栄養)を普段からしっかりとる
- 筋肉は休息時(睡眠時)に作られる。質の良い睡眠をとる。
もし風邪をひいてしまったときには、安静にして自らの持つ自然治癒力(リンパ球の働き)を高めましょう。
ただしお医者様には早めの診断を求めるべきです。
結論だけ見ると意外性がないのでつまらないかもしれませんが、数百万年かけて進化してきた我々人類の身体の可能性はものすごく大きいのです。それを最大限に活用することこそが日々の生活を健康に過ごす秘訣ではないでしょうか。
身体こそが最強の薬なのです。